第4章 夕虹
Satoshi
松本に会いたい、と言ったから……?
でも、それがどうしておまえを苦しめることになるの?
俺は、今まで見たこともないくらい、悲しく暗い表情をしてるニノをじっと見つめた。
ニノはそれ以上何も言わない。
ただただ何かに耐えるように、口を引き結び、俺を見返してくる。
「……どうして……」
「……どうして、ばかりだね」
「だって……」
自嘲気味に呟くニノをみつめる。
泣いて、俺を抱いて、それで……?
ここで、松本の名前が出る意味がわからない。
俺は、ひとつ瞬きをした。
ああ……熱がまたあがってきてるのだろう。
ぼんやりしてきた。
ニノの冷たい指が俺の頬を撫でる感触がする。
「……サト」
「…………ニノ?」
「俺はね……あなたが」
「…………」
「あなたが好きだよ」
どこか、別の次元で聞いてるように……頭にわんわん響いて聞こえる。
好き……?
俺を……?
「あなたのそばに……いたいよ」
「…………」
「だから、松本を見ないで」
「…………」
「サト」
松本を……?
俺、そんなに松本を、見てる?
どう答えていいのかわからない。
考えれない。
弟みたいに思っていたニノが、すごく真剣な顔をして、すごく大事なこと言ってるんだけど……
「泣かないで……?」
「…………ニノ……俺……」
俺は、よくわからないままボロボロ泣いた。
なんかすごく胸が苦しくなって、自然と涙がこぼれた。
ニノは、困ったように微笑み、ごめんね、と、俺の涙を何度も親指で拭ってくれた。