第4章 夕虹
近くのコンビニでジュースと冷却シートを買ってきて、再び智の部屋に戻る。
靴をぬいで、静かにベッドに近寄ると、智は、おとなしく眠っていた。
倒れた直後の真っ白だった顔色にくらべ、頬に赤みがさしてきているが、逆に発熱してきてるのだろうと思った。
額に冷却シートをそっとはってやると、気持ちがいいのか、智は、うぅ……んと、息を吐いた。
『サト……』
熱い頬に触れた。
鼻の奥がつんとして、視界がぼやける。
泣けるよ。
だって、どうしてこんなに、頑張るの。
体売ってどうしたいの。
そんなに、金が欲しいの?
……どうして何も言ってくれないの……?
体をのばし、智の少し開いた唇にキスをした。
何回か唇を食み、かさついた唇に潤いをよびもどすように、ゆっくりと口づけた。
俺にとっては、とうにただのスキンシップじゃなくなってるこの行為は、するたびに気持ちが苦しくなる。
甘い声をもらしたあなたを、何度、押さえつけたくなったか。
そっと唇を離す。
そのときだった。
『……まつ……もと』
聞き間違いかと思った。
苦しげな吐息にまじり、小さく呟かれたその名は、俺じゃなくて。
俺のクラスの……人気者。