第4章 夕虹
なに?意識がぼんやりした状況で、出てくる名前がそれかよ?
『……マジか?』
俺はやるせなくなって、ほんとに泣けてきた。
『やだ……』
揺るがないと思っていた俺の居場所。
それがなくなりそうな怖さと………。
キスに想いをのせ始めてしまってる俺の心。
それを否定されてしまう悲しさ。
『やだよぉ……』
ぱたぱたと涙が落ちる。
俺は鼻をすすり、泣き続けた。
『……ぅっ……えっ』
分かってる。
想いを成就させようなんて思ってないさ。
誰にも興味のない智だもん。
でもさ……そんななかでも俺が一番でありたいんだ。
あなたのそばにいたいんだ。
……あなたが好きだよ。
ああ……やっと分かった。
俺は、あなたがこんなにも好き。
認めた自分の想いにおしぶされそうだった。
俺は、みっともなくぐずぐず泣きながら、智の側に突っ伏した。
だが、
『……まつ……も……』
再び呟かれる言葉に、思わず耳をふさぐ。
そんな何度も名前呼ぶ必要ある?
アホ智、なんの夢みてんだよ?!
夢と現を行ったり来たりしてるのか。
しゃくりあげながら、智の顔を見た。
その唇が、会いたいと、紡いだのを見つけた瞬間……俺の何かがキレた。