第4章 夕虹
昨日のことだ。
シャワーしながら倒れた智を、火事場のバカ力というやつで引きずり起こして、小さな廊下で水滴をふきあげてやった頃には、俺は汗だくだった。
意識が混濁してるようにもみえる智の頬を、軽くはたく。
怖い。
こんなことなかったのに。
『サト……サト。しっかりして。どうしたの』
『……う……』
ぼんやりしてる
裸の体は、あちらこちらにキスマークという名の鬱血のあと。
とくに下半身に集中してるのに気がつき、タオルをかけてやった。
ひどい客だったのだろうか。
そんなやつに当たったこと、俺が知ってる限りいままでなかったはずなのに。
辛抱強く刺激をあたえながら、小さな冷蔵庫からこないだ店でもらった保冷剤をもってきて、あちこち冷やしてやる。
すると、智が、ごめん……と小さく呟いた。
俺は、ほっとして、抱き起こして水を飲ませながら、たずねる。
『……ひどい客だったの?』
『ん……多分…クスリ…』
『え?!』
『……もう大分抜けた……けど…』
智は呟くように言う。