第4章 夕虹
Nino
あなたが誘ったんだ、と、言った俺に、
「……ほんと?」
呟いて、押し黙った智。
その瞳を真っ直ぐにみれなくて、俺は、うつむいた。
こんな反応をしてたら、嘘だって、自分でばらしてるようなものだけど。
案の定、智は納得できないといった声音で否定してきた。
「……違うでしょ」
「……ほんとだよ」
「……嘘だ」
「ほんとだって」
「じゃあ俺の顔をちゃんと見て」
言い放つ智に、俺はしぶしぶ顔をあげた。
智はじっと俺の瞳をみる。
熱のせいで、水分量の多めな瞳は、泣きそうにもみえて、俺はいたたまれなくなり、また目をそらした。
「ほら……目をそらす」
「うるせーよ。ほら、もう寝ないと」
「ニノ」
「明日までに治らないよ」
「……俺は、抱いたことを責めてるんじゃない」
「…………」
「おまえ、泣いてたろ?」
俺は、ギクリとして思わず息をとめた。