第1章 星に願いを(ラビ)
「なになに…『お茶の給仕や料理が上達しますように』!」
「上達したいことを書くのもいいって、スミレが教えてくれたでしょ?」
「お茶の給仕って…科学班のためじゃん!リナリー!!いつもありがとう!!」
思わずリナリーに抱きつく。流石、科学班の。いや、黒の教団のアイドルだ。
「僕もできた!短冊の両面に書きました!」
どれどれ、と皆でアレンの短冊を覗き込む。
『たくさんのご飯が食べれますように アレン』
ああ、アレンもなんて可愛らしいことを…!
胸をきゅーーーん、とときめかして、何気なく短冊の裏をめくると
『師匠にツけられた借金が減りますように』
表の字面と違い、荒々しく書かれていた。
「「「……」」」
「ア、アレンの短冊も飾ろうね!」
スミレはノーコメントでアレンの短冊を笹の葉に結んだ。
「そういや、ユウはなんて書いたさ?」
雰囲気を変える如く、ラビが神田に話を降る。
「ファーストネームで呼ぶんじゃねえッ!刻むぞ」
「ラビ、バ神田が大人しく書くわけないでしょう。ここは僕が代筆しますよ
ソバ、ばかん…」
「てめぇ、何勝手に書いてやがる!!」
男3人でぎゃいのぎゃいのと揉めている。
取っ組み合いの喧嘩にならなきゃいいけど……スミレがハラハラして見ていると、
「スミレは何て書いたの?」
「リナリー!私のはこれだよ」
「『皆が七夕を楽しめますように』?」
「そう。言い出しっぺだしね。何だかんだ、皆楽しんでくれたみたいで良かった♪」
「これじゃあ、現状報告さね。こんなんでいいんか?
スミレは。」
「うん。皆、多忙で疲弊気味だから楽しめたらいいなって思って。特にエクソシストの皆は、戦いに行かなきゃいけないでしょ…こうゆう楽しみって、とっても大事かなと思って。」
スミレは慈しむように笹の葉を見上げて言う。
「スミレ…ありがと」
リナリーは目を潤ませ、騒いでいた3人もいつの間にかスミレの話を聞いていたようだ。
「やっやだなあ、もう!そんな湿っぽくするつもりないのに!…私のせいか、ごめん?!」
リナリ〜!なんて言っているスミレを見て、神田は舌打ちをする。
え、神田を怒らせた?!