第1章 星に願いを(ラビ)
「いやあ、先程始まったばかりでして…」
「それにしたって!こんな楽しそうな事してるのに、僕を除け者にして酷いじゃないかー!」
コムイはスミレからちゃっかり短冊をもらい、願い事を書いている。
「アンタは言わなくても、すぐ飛んでくるだろ」
リーバーは呆れた顔で、笹の葉に願い事をくくりつけるコムイを見つめる。
「僕は書き終わったので、皆ゆっくり楽しんでね!じゃっ!」
ピューーンっと効果音がつきそうな勢いでコムイは去って行った。
「…嵐のようだったさ」
「コムイ室長、なんて書いたんだろ?」
ジョニーが気になるな〜なんて言っている。
「うーん、人のを読んじゃいけないかなあ?でも、願い事を知られたくない人は名前無しか、イニシャルでいいかもね!
笹の葉に括りつけられた他の人の願い事を見て、楽しんだりもするからね」
「それじゃ、室長の失礼しまーす」
そう言い、ジョニーは室長の願い事を拝見する。
そこには
『探さないでね。 コムイ』
一同「「「……」」」
「あンの巻き毛ぇぇぇぇーーーッ!!!!」
リーバーの怒号が響き渡る。彼は最速で短冊に願い事を書き括る。
ダダダダダダーーーーーーッ
そして、その場をダッシュで走り去っていった。
コムイの逃走により、七夕の話題も沈静化した。
科学班による願い事は自然とコムイへの恨み辛みと、リーバーへの哀れみ、声援が書かれることになった。
「…スミレ、改めてまた後で来るわ。」
「あ、俺もそうする。」
「リナリー、ラビ。落ち着いたらまたおいでね?」
科学班みんなが恐ろしい形相で短冊に何かをガリガリと書き綴る中、二人はそっと後にした。