第1章 星に願いを(ラビ)
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昔あるところに、神様の娘の織姫と、若者の彦星がいました。
織姫は機織りの仕事を、彦星は牛の世話する働き者でした。
やがて2人は結婚しました。
すると、働き者だった2人は遊んで暮らすようになり、働かなくなってしまいました。
怒った神様は、2人の間に天の川を作って離してしまいました。
悲しみにくれた2人は泣き続けました。
神様は、前のようにまじめに働いたら、1年に1度だけ、2人を会わせてくれると約束しました。
2人は年に1度だけ天の川を渡って会うことが許されるようになり、その日が七夕とされるようになりました。
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これが、七夕の言い伝えかな」
「天の川を渡って会うなんて、ロマンチックね!」
「1年に1回しか会えねーなんて、ありえなくね?!」
リナリーやラビが、各々の感想を口にしている。
周囲からも、「へー」とか「ふーん」なんて声が聞こえてくる。
ねえねえ!と、ジョニーがシュビッと手を上げる。
「お願い事は一人1つまでなの?」
「そうゆう決まりはあまり聞いたことないけど、基本は1人1つかな?」
「じゃあ何を書くか考えないとなー」
最初は呆れてたリーバーを始め、皆どんな願い事を書くか悩みだしている。
「こんな素敵な行事なのに、中国ではないなんてびっくりだわ」
「そうなんだよね、リナリー。中国では廃れてしまったらしいんだ。中国では、七夕節は“七夕情人節”と呼ばれることが多く、これは“七夕のバレンタインデー”を意味していて、男性から女性にプレゼントを送るのが今の流行りだよ。あ、中国の七夕は1ヶ月先なんだけどね。」
つらつらと中国の七夕事情を話しているのは、先程はここにいなかった、コムイ・リーである。
「に、兄さん?!」
「室長?!いつ来たんスか」
「リナリーもリーバーくんも、主催のスミレちゃんまで!どうして僕を呼んでくれないかな?!」
クイッと眼鏡を上げ下げし、片手にコーヒー。スリッパ姿でコムイは現れた。