第1章 星に願いを(ラビ)
「七夕?」
「そう、七夕!リナリーは知らない?」
「七夕は知ってるけど、中国ではこんな風に笹の葉に飾り付けをする風習はないわ」
科学班にはコーヒーの給仕のために、リナリーが来ていた。
スミレもコーヒーを頂きながら、せっせせっせとと笹の葉に飾り付けをしていく。
「というか、この笹の葉は何処で仕入れて来たんだ?」
リーバー班長は呆れ気味に言う。
「ジェリーさんに貰ったんです!
ちょっと前に七夕の話になって。料理で笹の葉を使うことがあるから、次いでに私にもくれたんです♪」
「…スミレ、お前。最近コソコソと何か作ってるなーとは思ったが、こんな大量の飾を作ってたのか。」
「え!気づいてたんですか?!で、でも、業務中にはしてませんよ!?休憩時間にちょこちょこと!」
「知ってる。だから何も言わなかっただろ?」
ポンポンとスミレの頭を撫でる。
思わず、ふふふっと笑みが溢れる。
和やかな雰囲気でいると、後ろからガバッと首に何か巻き付いてきた。
「へぇーっ 日本にはそんな風習があるんさねー!」
「ちょ!?ラビ!?…重いッ」
「ちょっと覗いてみたら、また面白そうなことしてるんで来た♪」
赤髪で眼帯がトレードマークの青年、ラビだった。
スキンシップが多いのも日常茶飯事であり、今は後ろから抱き締め(もはや羽交い締め)されている。
「スミレ、一人でよくこんなに作ったねえ!これはツルってやつ?」
「これは…何だ?網みたいだな?」
「ありがとう、ジョニー!そうだよ、鶴!
タップもよく網ってわかったね、すごい!」
二人に話しかけながら、するっとラビの腕から抜けだす。
「スミレ〜」なんて、甘えたこと言ってるが聞こえないフリをする。
ジョニーとタップは私が作った飾りをまじまじと見ながら、笹の葉に括り付けてくれている。
「飾りにも意味があってね、例えば鶴は家族の長寿、網は豊作や豊漁を願うんだよ。」
「飾り付けにも意味があるなんて、素敵ね!」
「結構ちゃんとした行事なんさね」
ふと、ロブが1つの飾りに目を留める。
「この飾りの紙…この間、差し入れでもらったお菓子の包装紙?」