第1章 星に願いを(ラビ)
ラビからもらったひまわりが、とても嬉しくて眺めてしまう。
まさか、プレゼントを貰えるなんて。
花を貰うなんて、いつぶりだろうか。
ふと、視線を感じそちらの方へ振り向く。
「…どうしたの?」
「いや?気づくかなーと思って見てだけさ」
「そんなに見られれば気づくよ!」
「いんや。ま、いいんさ。
こんなに喜んでもらえるなんて思ってなかったから、良かった!」
「女の子は皆嬉し…へっくしょん!」
スミレから、色気もへったくれもないくしゃみが響く。
漫画みたいなくしゃみだな!と、ラビに笑われてしまった。
「流石にそろそろ帰るさね。7月とはいえ夜は冷えるし」
「もうこんな時間かあ、七夕も終わっちゃうね」
「せっかくだから、この笹の葉は屋上に飾っていこうぜ♪」
そう言うと、ラビは屋上の手すりに笹の葉を括り付けだした。
スミレは座っていたシートを畳み、バケットに荷物やゴミをまとめる。
「片付けはあっという間だねえ、寂しいな」
「でも、たくさんお祝いするんだろ?次は俺の誕生日が近いんじゃね?」
「…ぜ、全力でお祝いするよ!」
「全力って(笑)…じゃあ、楽しみにしてるさ。」
そう言うとラビは、私の手から荷物を取り、片手で持つ。
もう片方の手には鉄槌を持ち、帰り支度をしている。
鉄槌を伸ばしてる間、スミレは再びひまわりに視線を落とす。
(…なんだか、このひまわりはラビみたいだなあ。)
明るくて、元気で、賑やかで
太陽みたいに皆を暖かくしてくれる
確か、花言葉はーーーー……
(え?)
…ーーーーあなただけを、見つめてる。
「…」
スミレは思わず、固まってしまった。
いやいやいや、ラビがそこまで考えてるとは限らないし。うん。
「…よし!スミレ!帰る準備できたから、おいで?」
そう言い、ラビは手を握れと言わんばかりに差し伸べてくれた。
今日はとことん紳士なラビに、物申したい。
私じゃなかったら、こんなことをされれば勘違いしてしまいたくなる。
「……ねぇ、ラビ!安易に花を贈っちゃだめだよ!?」
「へ?」
突然、話しの脈絡もないことを言われ、ラビは目が点になる。
「花にはね、花言葉ってのがあってーー」