第1章 星に願いを(ラビ)
「知ってるさ。」
「そう!知って…へ?」
「知ってるさ。花言葉」
今度はスミレの目が点になる。
「…知ってて、スミレに贈ったんだ」
「そう、なの……?」
「気づくの、遅いさ…」
「…」
「俺だって、スミレと同じくらい。スミレは大切な人、だかんな」
顔に熱が集中しているのがわかる。
暗くて見えないけど今、私真っ赤だ。
また、泣いてしまいそうだ。
ああ、もう
好きだなあ
大切だ
幸せに、なってほしい
この気持ちが、少しでも伝わればいいのに。
「…ほら!俺の手につかま…うわっ?!」
スミレはラビの手ではなく、首に飛びつくように抱きついた。
「ちょっ…なん…?!」
いつものスミレからは考えられない行動に、ラビが動揺しているのがわかる。
「ラビ」
「なんさっ?!」
少しでも、この気持ちが伝わりますように。
「ありがとう…」
「…ん」
「私。明日からもまた、頑張れるよ」
涙を流さないよう、一生懸命に堪えながらの言葉は消え入りそうなくらい、小さな掠れ声になってしまった。
ラビが抱きしめてくれた時、言われた言葉を思い出す。
『もう、何も。言わなくていいさ』
『お願いだから。言わないで、さ。』
『俺は、○○○○ーーーー……』
スミレに また会いたい
「…今日の七夕のこと、忘れないからね。」
あの言葉だけで、私は頑張れる。
「俺も。…たくさん、お祝い事しような」
そう言い、ラビはスミレを強く抱き締める。
二人は顔を合わせ、はにかむ様に笑い合った。
気付けばすっかり夜空は晴れ、星が煌めいている。
どうか、彼らの願いが叶いますように
星に願いを。《fin.》