第1章 星に願いを(ラビ)
「はは…待ってるって。何を、さ。」
「…わかん、ない。でも、ここで。…ずっとずっと。待ってたい、の。」
言いたい 言えない
ラビを、待ってる なんて。
言えないーーーーー
「もう、何も。言わなくていいさ。」
気づいたら、ラビに抱きしめられていた。
「お願いだから。言わないで、さ。」
ぎゅっと、キツく抱き締められる。
吃驚して涙も引っ込んでしまった。
ラビの声が、ふるえる腕が。まるで泣いているように思えて、彼の背中に腕を回し、そっと擦る。
「俺は、○○○○ーーーー……」
「ッ!」
ラビのその言葉に、スミレは再び静かに涙を流す。
ラビという存在を確かめるように抱き締め、目を瞑った。
* * * *
暫くし、お互いが落ち着く。
今はラビの肩にスミレの頭をのせ、二人で寄り添うようにして座り夜空を眺めていた。
「悪かったさ。泣かせるつもりなんて、なかったのに…」
目が晴れちまったな、と。
ラビは指でスミレの頬の涙の跡を拭う。
「そんなこと、ないよ」
擽ったい、とスミレはふふっと身をよじる。
「ラビと久々にゆっくり会えて。話ができて、嬉しかった」
「ん。それはこっちのセリフさ。」
すると、ラビはバケットからゴソゴソと何かを探している。
サンドイッチやカットフルーツ等は、ジェリーがせっかく準備してくれたので、先程二人できちんと頂いたはずだ。
「ほい、今日のお礼!」
ラビが手にしていたのは、一輪の
「…ひまわり?」
「中国では、七夕はバレンタインデーだって、コムイも言ってただろ?
男性から女性にプレゼントするのが、一般的なんさ」
「そんなことも言ってたような…でも、貰っちゃっていいの?こんなに色々してもらった上に…」
スミレは遠慮がちにしていると、
「スミレに、もらって欲しいんさ」
再度、一輪のひまわりを向けられた。
なんだかもう、嬉しくって、恥ずかしくって、申し訳なくて
やっぱり、嬉しくって。
「…ありがとう。」
そっと、ラビの手からそれを受け取った。