第1章 星に願いを(ラビ)
「ふふーん。それはこれからのお楽しみさ♪」
すると、ラビは自身の足元に置いてあった荷物をまとめる。
暗くて気づかなかったが、それはバケット…?
それと、笹の葉…というか笹の、枝?
枝は腕くらいの長さしかないものだった。
「ほい、ここ握って?」
「?うん」
言われるがままに、言われた棒を握る、が。
それは棒ではなく、ラビと対AKUMA武器の鉄槌の柄であった。
ラビはスミレの後ろから手を伸ばし、スミレの手に自分の手を重ねて握り、抱き締めるような体制となった。
スミレは一瞬ときめくものの……
(…ん?!これはもしかして、ラビの十八番の…?!)
「ね、ラビ?!ちょっ、待…」
「大槌小槌…伸ーーーーーーーー!!!」
「わああああっ!!いやああああああ!!!」
「伸伸伸伸伸ーーーー!!」
夜空に彼らの叫び声が響き渡った。
* * *
「〜〜〜〜もうっ!!!いきなりすることないでしょ?!」
「言っちゃったらつまんないだろ?」
「つまんなくないよ?!言われても伸で飛ぶのは怖いよ?!!」
「俺がいるから大丈夫さー♪」
「そして着いたココも超怖い!!!ねえ!!」
なんと、鉄槌で飛んだ先は黒の教団本部のてっぺん…屋上である。
建物の高さが高さなだけに、スミレは下を見ることが出来ない。
おまけにラビが持っている灯火以外、明かりはないので結構な暗さである。
「じゃあ遠慮なく、俺にそうやってくっついてて欲しいさ♪」
「ううう…もうッ、自分が情けない」
そう、スミレはラビにピッタリくっついている状態である。
ラビは「ちょっと失礼するさー」と言い、荷物を降ろして何やら準備を始めた。
「ここに来たのは、スミレと七夕をしようと思ったんさ!」
「七夕?それなら今日、皆でやったじゃない?」
「あれは皆のための七夕だろ?それに、スミレ自身の願い事は書いてなさそうだったしな。
あれから俺も、七夕について調べたんさー」
そんなことを言いながら、バケットから二人分が座れるくらいのシートをひく。ラビはそこに腰を下ろし、空いてるスペースをポンポンと叩く。
「スミレ」
座ることを催促されている。
「えっと…失礼します、」
「ん!」