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金平糖の詰め合わせ

第3章 夏祭りと山姥切長義.. 𓈒𓏸













夜の庭に揺れる提灯の明かりと、遠くで打ち上がる花火の光。


腕に抱えたくまのぬいぐるみの柔らかな感触と心臓の高鳴りを感じながら、私は長義の綺麗な碧眼を見つめた。




長義から向けられる視線は、普段の落ち着いた彼とは少し違い熱を帯びている。結い上げられた髪から見える首筋を、長義は思わず目で追い心の奥でざわめきが止まらなかった。







「……主」






低く呼ばれた声に私は小さく息をのみ、頬が熱くなるのを感じた。



長義の片手が、そっと美桜の首筋に触れ撫でられる。


ピクッと身体を震わせると長義の反対の手がぬいぐるみを持つ私の手を包み優しく重ねられた瞬間、胸の奥で甘い期待がじんわりと広がる。






「主…少しいいだろうか?」






その言葉に私は小さく頷き、彼に繋がれた手に導かれるまま静かに、
でも少し早足な長義の後ろを着いて行き、長義は空き部屋へ向かった。


縁側から近い少し小さな空き部屋に入ると、夜風と屋台の音が少しだけ遠くなる。




手をつなぐ温もりと長義の熱を含んだ瞳に心臓の高鳴りが、二人だけの甘く濃い空気を生んでいる。


私は照れくさくなり目を伏せ、少し俯いた。



空き部屋の薄明かりの中、俯いた私を長義の長くスラッとした指先が顎を持ち上げ、長義と視線が絡んだ。


私は恥ずかしくなり、思わず長義に背中を向けた。


胸の奥でドキドキと高鳴り、手に抱えていたくまのぬいぐるみをぎゅっと抱きしめる。


その瞬間、長義の温かい体が背中に触れ、ゆっくりと腕が回された。驚きで少し体を強ばらせる私に、彼の柔らかく落ち着いた呼吸が伝わる。





「……貴方を…驚かせてしまったかな」





低く熱のこもった、でも優しい声。背後から伝わるその声に、胸の奥がじんわり温かくなる。



長義の手の温もり、背中に感じる包まれる安心感。

心臓は早鐘のように打ち、顔はまだ恥ずかしさで熱くなるけれど自然と肩の力が抜けていく。



夜の庭から届く花火の音と屋台のざわめきが、静かに二人の時間を包む。浴衣越しに伝わる温もりと、後ろから抱き締められる安心感。甘い時間がさらにじんわり二人を包み込んでいた。







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