第1章 眠れない夜と三日月宗近.. 𓈒𓏸
三日月は美桜の気配に気付き、ゆっくりと気配のする方へ振り返った。
美桜と目が合った瞬間、柔らかな微笑を浮かべた。
「主、……眠れぬのか?」
私が小さくうなずくと、三日月は優しく微笑みながら
美桜に落ち着いた穏やかな声色で声をかけた。
「そうか、俺も眠れなくてな…。
主よ、主が眠くなるまでこのじじいの相手をしてくれんか?」
私は三日月の側に近付き隣に座りながらその言葉に、クスッと笑った。
『…じじいってその見た目でじじいなんて言ってたら、全国のおじいちゃん敵に回すよ?』
「はっはっは、…それは困るなぁ」
『困ってるように見えないんだけど?』
静寂に包まれた夜、三日月と私の声だけが響いた。
ただ隣に座っているだけで、心が満たされるようだった。