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金平糖の詰め合わせ

第1章 眠れない夜と三日月宗近.. 𓈒𓏸







夜の本丸は、昼間の刀剣男士達の喧騒を
すべて遠くに置き去りにしたように、
深い静寂に包まれていた。






いつもならすぐに夢の中へ落ちるのに、今日はなぜか寝付けず


『……だめだ、全然寝付けない…』


私は布団の中で何度も寝返りを打った。



それでも寝付けず心もソワソワしだし、仕方なく寝るのを諦めて
布団から抜け出し、静かに庭へ足を運んだ。








月光は本丸の庭石や苔に淡く反射し、樹々の影が静かに揺れる。



部屋から出て庭に行こうと廊下を歩く。
自分の廊下を踏む足音も、
風に揺れる葉の音も、部屋から出ると
静かに心を解きほぐしてくれるような気がした。



縁側に差し掛かると、淡く光る影の中に座る人影がある。





『あれ?誰かいる…?』





私は暗闇の中、目を凝らして見た。

そこにいたのは三日月宗近だった。



今夜は雲一つ無い綺麗な三日月が夜空に浮かんでいる。




私はほんの少しの好奇心から三日月の後ろ姿をこっそりと盗み見た。


静かに夜空に浮かぶ三日月を見上げるその背中には、
平安時代からの長い年月を経た者の落ち着きが滲み、自然と胸が和んだ。









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