第2章 伝えたい恋心と鶴丸国永.. 𓈒𓏸
「……俺だけに笑ってほしいんだ」
鶴丸の囁きに、私は驚き目を瞬かせた。
その表情に、金色の瞳の奥でずっと押さえ込んでいた想いが静かに弾け出した。
「……主、すまない」
『えっ…?』
鶴丸は顔を近付けたまま、私の腕をクイッと引っ張り
自分の方へ引き寄せるように導きながら私を立たせた。
『わわっ…!』
縁側を後にし夜の静けさに包まれた中、審神者部屋の側まで来ていた私達は鶴丸によって審神者部屋へ連れ込まれた。
部屋の襖を閉めると、鶴丸はふっと息を吐きわずかに目を逸らし俯く。
『……鶴丸さん?』
「……すまん、急に……でも、抑えられなくてな」
その声は小さく、しかし真剣さを帯びていた。
次の瞬間、鶴丸の顔がまた私に近づき、唇が触れる寸前で止まった。
私の驚きと戸惑いが鶴丸に伝わったのか、
鶴丸は一瞬躊躇したが鶴丸の目は揺らがない。
(……主、もう…我慢なんてできそうにないんだ)
微かな間合いの中で、鶴丸の抑えきれない感情が胸の奥から溢れ出す。
触れ合う距離と静寂の中、鶴丸の一途さから来る独占欲は
夜の闇に溶けるように、美桜だけに向けられていた。