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金平糖の詰め合わせ

第2章 伝えたい恋心と鶴丸国永.. 𓈒𓏸












襖の向こうは夜の静けさが部屋を包む。


鶴丸はわずかに目を逸らし俯いたままだったが、その視線はすぐに私へ戻った。




唇が触れそうな距離で止まっていた鶴丸――しかし、胸の奥で抑えきれない想いが、突然爆発した。


何かに追われているのかとでも思うように性急に私の後頭部と腰に手を回し、固定すると口づけた。




『っ、んんっ…はぁ…んっ』






唇を重ねた短い時間、鶴丸の心は静かにしかし激しく高鳴る。


茜色の夕焼けから漆黒の夜へと変わった外の静寂とは対照的に、鶴丸の胸の奥では美桜に対する独占欲が抑えきれずに弾けていた。




「……んっ、はぁ…」





やがて美桜から唇を離すと、鶴丸の瞳は揺れながらも金色の瞳を逸らず、何処か狂気的な雰囲気を纏っていた。






「……主…ずっと、俺の傍にいてくれ…」





『………それは、っ…、神隠しを、するの…?』



柔らかな闇に包まれた部屋で、鶴丸のその目は美桜だけを見据えながらも微笑んで




「………、そうしたいが君を隠したら君は悲しむだろう?…君が悲しむ事はしたくない、だが…傍にいてほしいんだ。俺の恋仲として…」





鶴丸の言葉に私は唾を飲み込んだ。


白い内番服は闇に溶けず、鶴丸の存在を淡く輝かせる。


冗談めいた軽やかさと、一途過ぎる想いと独占心が混ざり合い
夜の静けさに溶け込む光のようだ。



私はまだ胸の高鳴りを抑えきれず、でもその目には鶴丸だけに向き、その少し狂気的なでも真っ直ぐな一途さに
自分でも戸惑う気持ちがありながらも、それでも確実にゆっくりと恋心が宿った。







夜の静寂は二人だけの世界を守るようにゆっくりと流れ、柔らかな闇の中
鶴丸の独占欲と一途さは、確かに私だけに向けられていた。



私が鶴丸の言葉に小さくも頷くと、鶴丸は再び私の後頭部と腰に手を回し引き寄せ口づけた。


その夜は二人だけの特別な時間として、静かに
しかし確かに重なっていった――








………Fin.
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