第2章 伝えたい恋心と鶴丸国永.. 𓈒𓏸
昼食を終え、両手を合わせて
『ごちそうさまでした。今日も美味しかったです』
光忠と歌仙にお礼を言うと、しばらく他の刀剣男士達と話に花を咲かせた私は立ち上がった。
鶴丸も美桜が立ち上がると着いて行き
二人は食堂を出て審神者部屋へ向かった。
廊下を歩く足音に、午後の柔らかい光が壁や廊下をほんのり赤く染めている。
日差しはまだ暖かいが、影は少しずつ長く伸び、日没の気配を知らせていた。
「……さて、今度は少し俺に付き合ってくれないか?」
その声は冗談めいているが、金色の瞳の奥には
朝から募らせていた独占欲がちらりと光っている。
私はそんな鶴丸には気付かず笑みを浮かべて、柔らかく答えた。
『はい、いいですよ』
その笑顔を見て、鶴丸の心臓は少し高鳴った。
(……俺だけに、この笑顔を向けさせたい…)
審神者部屋の近くまで来ると、他の刀剣男士は誰もいないことに鶴丸は気付いた。
夕暮れの静かな空気の中、鶴丸はつい我慢できず、美桜との距離をぐっと詰めた。
軽口の笑いと柔らかな声で冗談を交わすが、その金色の瞳の奥には、朝から募らせた独占欲が隠しきれずに光っていた。
(付き合ってくれとは言ったが…)
「……君、疲れた顔してるな。少し休んだ方がいい」
鶴丸の手が自然と私の肩に触れ、支えるように添えられた。
美桜は驚きつつも、まだ鶴丸の本心には気づかない。
その様子を見て、鶴丸は内心で微笑んだ。
(……俺のものにしたいって気持ちはまだ知らないままでいい。今は、ただ俺だけにその笑顔も驚いた表情も見せてくれ…)
審神者部屋へ繋がる夕陽に染まる縁側で、二人の影が長く伸びる。
柔らかな光の中、鶴丸の笑顔と仕草には
昼間以上に濃密な独占欲が静かに、しかし確かに現れていた。