第2章 伝えたい恋心と鶴丸国永.. 𓈒𓏸
「わっ!驚いたか?」
にやりと笑いながら、ひょいと部屋に入ってくる鶴丸国永。
私は思わず持っていた書類を床に散らばせ跳び上がった。
「鶴丸さん! もう…、心臓に悪いです」
軽快に笑う鶴丸は、すぐに書類をそっと手に取り、私に手渡してくれる。
「おっと、そんなに驚いてくれるとは…。驚かせ甲斐があるな!」
そんな笑顔の奥で、金色の瞳はさりげなく長谷部を追う。
「で……長谷部も驚いたか? その顔に」
美桜の驚いた顔を長谷部に見られ、美桜には気付かれない程度の冗談のようで棘を含んだ声。
長谷部は鶴丸の言葉に眉をひそめ、目を逸らす。
(……はぁ、ただの冗談じゃないな)
鶴丸の軽やかな笑顔の裏にある熱
――嫉妬と独占欲――を、長谷部だけが察してしまう。
私は驚かせるのが好きな鶴丸を横目に無邪気に笑い、作業に戻る。
鶴丸はさりげなく距離を詰め、軽口を叩きつつも、目は真剣に美桜だけを追う。
日差しが柔らかく部屋を包む中、彼の瞳だけがひそかに熱を帯びて光っていた。