第2章 本編 幸せの青いルフ
*メローザ目線*
少ししてからすぐ、はっと我に返り短剣を構えた。
相手も剣を構えたのを見て、私たちは一気に距離を縮めた。
しばらく剣を交わし合い、お互いの剣技などを見る。
戦いの基本だ、と一族の者に聞いた。
動物相手に練習してきたことでも、案外約に立つものなんだな、と実際にやって感じる。
キインと音を立ててぶつかる刀身。戦いは押し合いになってしまった。
「・・・お前は、この戦場に来たくて来たのか?」
急に声をかけられて驚いた。その顔は純粋な好奇心を持った物にしか見えなかったからか、私の口からは自然と言葉がこぼれた。
「ううん。一族に『誇りのため』とだけ言われてここへ来た」
私の顔はどんな顔だったのだろう。怖くはなかったはずだ。
「そうか・・・・・・お前、名前は?」
「・・・・・・・・・メローザ」
「俺はロクトだ。・・・・・・女性を斬るなんて好きじゃないが、相手してもらえると嬉しい」
「・・・・・・わかったわ」
軽い自己紹介。意味のない行為だけれど、名前を聞けて少し嬉しかった。