• テキストサイズ

触れる度に愛を知る【ハイキュー】

第5章 ふわりふわり揺れる思い


聖臣side

誰にも悟られないように、沙耶の手を離さないようにしていただけだ。

弱さを吐かせたところで、全てがクリアになるわけじゃない。

アイツらに言ったことも強がりにしかならない。

「佐久早君が仕向けたからって、何でも言うわけじゃない。

けど、結局俺らよりも佐久早君には、甘えてるってことやん。

あんなに不安そうにしている沙耶を散々見てきたのに、それでも、本音を言ってないってことや。

俺は…沙耶の何を見とったんやろう」

沈む宮侑に、目を逸らした宮治もまた、片割れ以上に悔いているように見えた。

「本音か…正直俺よりもいつも近くにいる聖臣の方が、沙耶の事を一番に理解しているって分かっているけど、それでも、心底自分にムカつくよ」

元也も自分を責めているけど、それは違う。

俺に言わない事だって多々あるし、元也の方に相談することも多い。

それを元也は、知らないだけだ。

「沙耶が、何も言わないのは分かった。

佐久早だけ気づいた事って、必ず予兆なり素振りとかあったかもしれんへんやろ?

少なくともツムは、少し気づいたってことや。

佐久早の言う通り、隠そうとするなら引き出せばいい。

これからの沙耶には、必要なことや」

「そう、うまくいけばいいけどな」

「なんや?佐久早どう言う意味で言ってる?」

「そのまんまの意味だ。

宮侑には、少し分かってきたらしいけど、結局そこまでだった。

お前は、それにも気づかないのにどうやって引き出せる?

そう、うまくいくわけじゃない!甘いんだよ」

言った先から、今度は宮治が襟を掴みにかかると、双子の片割れがやけに冷静でいる。

「サム、やめろ!そんなことしたって無駄や!

佐久早君かて弱音を吐かせたところで、改善なんかしとらんかったやろ?

今回のことだって、食べれるようになるまで俺は、根気よく付き合った。

そんなもん一時のことや、積み重ねた重荷は、そう簡単になくなるわけやない。

佐久早君かて分かっとるやろ?」

何も分かってない奴に、言われたくはなかったが、宮侑の言ったことも一理ある。

「分かっているから支えてやらないと、本当に何処かに行ってしまう」

あの日に帰らせないための対策がいると思えた。

/ 193ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp