第5章 ふわりふわり揺れる思い
聖臣side
「佐久早君って、余程自信ありなんや?
今までは、そうやったんかもしれへんけど・・・これからは違うで!
沙耶から俺を必要とされたいし、甘えさせたい。
キスも体ごとグズグズにして甘やかす」
気持ちの無いキスも、その先にある体を求めたりしても意味がない。
コイツ、沙耶を悲しませることしないだろうな?
「あぁ~勘違いせんといてな!もちろん沙耶の同意の上でや。
気持ちの無いキスやセックスするんなら、他の女で済ませた方が楽やし。
俺ら男の子やもん!キスもセックスも出すもん出せられば気持ちいいって、前まではそれでえぇと思ってた。
でも、もう無理や!沙耶とキスして以来、他の女なんか目に入らん。
佐久早君かて沙耶の事好きなら、何もかも奪いたいやろ?」
「お前と一緒にするな!!沙耶を泣かすなら容赦しない」
最悪!何となく気づいてたけど、こいつからなんて知りたくなかった事実。
「おぉ、こわっ!!心配せんでえぇよ!俺は、好きな子には紳士やで!」
「そうは見えない…手当たり次第女を食い荒らして感じがするけどな?」
「それはなぁ~否定せぇへんよ。
実際俺モテるし、いい寄る女はいっぱいいて、童貞卒業も同級生の奴らより早かったな。
女の子って柔らかいし温かいけど、セックスしてる間は満たされているのに、少し時間が経つとそれも満たされんようになって、いつも乾いてばかりや。
今は、沙耶とキスしただけで満たされて気持ちがえぇねん。
それだけ、愛しとるってことやん?」
無邪気に笑う子供の笑顔で言うコイツが、嫌で堪らない。
『相手にしちゃ強すぎ』と宮侑から言われた言葉をそのままそっくり返したくなるが、負けを認めているみたいで癪に触る。
「お前の女に対する理論とか、俺にはどうでもいい!女たらしのお前が、マジで沙耶に近づくな」
睨みつける俺に対して、宮侑から好戦的見られるのは、バレーをしている時と同じ。
獲物の狙うハンターの眼。
「そうくると思ったんや…だから言っておこうと思ってな。
そっくりそのまま、佐久早君に返すで!!そっちこそ沙耶に近づくなや!!」
「ふざけるなよ!!」
お互いの襟首を掴み睨みあう中、元也と宮治に剥がされその場は収束された。