第5章 ふわりふわり揺れる思い
「ほら、少し安静にせなあかんいわれたやろ?
少し眠り、傍におるから」
治君が、手を握りながら微笑んでくれる。
「なんやねん、サムだけずるいやん!俺も握りたい」
「手は、2つしかないやん。お前は、いいやろ後で!」
「はぁ~?何言うとんねん。
お前じゃなくて俺が、握りたいんや!サム替われや!」
あれ?侑君のトーンが、おかしい?
いつもの喧嘩じゃなくて、何だかすごく怒っている?
おもちゃの取り合いみたいな感じじゃなくて、すごく大切なものを取れられた時と同じ感覚に似ている。
「宮侑、静かに出来ないなら外出ろ!」
「聖臣までなんで怒るの」
この雰囲気を察して、聖臣が侑君を制しようとしているけど、相変わらず容赦のない言い方。
こういう時ほど元也が、しっかりサポートしてくれているからほっとする。
「聖臣怒っちゃだめ!治君ごめん、侑君と交代してくれる?
本当は、両手が開いてればよかったけど、片一方が点滴してて動かせれないからごめんね」
嬉しそうに治君と交代した侑君は、小さな子供みたいに無邪気に笑う。
「眠いだろう?無理してコイツに、付き合わなくてもいいから」
聖臣の触れる手は、温かい。
そのまま頬から伝って頭を人撫でした。
「うん、ごめんね…」
そのまま眠りにつき、次に目覚めた時はもう7時を回っていた。
「起きた?」
「聖臣…?何時間眠ってた?みんなは?」
「5時間ぐらい?元也は、家に一度戻るって帰った。
あと宮兄弟は、1時間前に帰ったよ。
アイツらだって明日は、学校あるしな。
煩い奴らがいなくなって、やっと落ち着ける」
「元気な事はいいことだよ!無条件で周りを明るくしてくれるから。
聖臣は、帰らなくてもいいの?」
「さっき帰って戻ってきたとこ、元也と交代で見てたから気にするな」
起き上がろうとするとすぐに、補助をしてくれて何も言わずともカーディガンを羽織らせてくれる。
「あぁ!聖臣また、髪の毛濡れてるよ。
私の時は濡れてると怒るくせに、自分だって乾いてないじゃな…い」
濡れている髪に触りながら言っていると、咄嗟にその手は取られ至近距離になる。
「我慢の限界・・・」
えっ!と思った瞬間触れる唇。
そのまま聖臣の手が、頭ごと持っていかれ深い口付けに変わる。
吐息が漏れて、何度も口付けをかわしていく。