第5章 ふわりふわり揺れる思い
侑君と治君は、おばさんの仕事の都合に合わせて来るようになった。
来る前は、必ず二人からLINEや電話で連絡を貰っている。
「どうや、体の調子?」
「侑君、おはよう!大分調子が良くなったよ」
まだ、眠たそうな侑君の後から、大きな花束を持ってきた治君が入って来る。
「おはようさん、今日もいい天気やな」
「おはよう、治君。いつも綺麗な花束ありがとうね」
いつもセンスの良い、綺麗な花束を持ってきてくれる二人。
花屋さんでどういう会話しながら、花を選んでいるのか想像していると、微笑ましくて笑ってしまう。
「どうしたん、なんか笑うツボとかあったん?」
「治君なんでもないよ、そうそう花瓶必要だよね」
「ここに確か!これに活けてくるから、後で沙耶直したってな」
治君は、テキパキと棚から花瓶を取り出し、花束を持って病室を出て行く。
交互に花選びをしているみたいで今回は、治君が主体となって選んでくれたみたい。
「今日は、治君が選んだみたいだね?」
「花の事?」
うんと頷くと、『俺が選んだ方が、センスいいやけどな』と侑君は、ムスっとした表情で呟く。
「ご飯、食べれてる?」
うぅ!その質問は、苦手。
「うん、食べれてるよ」
嘘はついていない、ただ…量がハンパなく少ないけど。
『あっそう』といいながら、じっと顔色を見て溜息をつかれる。
「嘘つくなや、あんまり食べてないやろ?
ゼリーとか果物持ってきたから、それなら食べれる?
青白い顔して~無理して食べて吐いたりするよりかは、自分のペースでもいいから、少しずつ食べれる物から食べなあかん」
頬に触れながら、笑顔で言ってくれる。
「嘘ついてごめんなさい…聖臣にも、この間バレちゃって怒られたばっかりなのに」
「へぇ~佐久早君って、沙耶に怒るんや?
以外やな~あんまり怒らんと思ってた」
「侑君からみたら、聖臣ってそんなイメージなの?
いけない事したり言ったりしたら、元也よりも厳しく叱ってくるよ。
基本的に二人とも優しいけど、タブーな事したら激怒だから」
言った手前俯きながら、この間の出来事を思い出してしまう。
「なんかあった?」
「…今みたいに嘘ついたの…その時に限ってタイミングが悪くて、聖臣を怒らせちゃって」
ちょっと泣きそうになり、侑君から目線を外す。