第5章 ふわりふわり揺れる思い
アレ?体が、重いな…そういえば、手術したんだ。
この声誰?私の話をしている?
「でさ、昔から沙耶って、何もないところでコケたりするから、いつも聖臣と見張ってないと危なかっしいんだよね」
「あ〜それあるかも!沙耶って放っておくと何処かに行ってまうから、探して見つけた時には転んで擦り傷作ってたりしとったな」
「本当、目離せないだよね〜心配する事の方が多いけど、それも可愛いって思うから反則なんだ」
「せやな、可愛いよなー」
待って!可愛いとか言ってるけど、さっきから貶してんのかな?何か複雑!
「治君さ、目を離したら沙耶何処かに行ったって言ったじゃん。
その時って誰が、最初に見つける?」
「そやなぁ〜だいたいツムが先に見つけとるな!それがどないしたん?」
「いや…何かさぁ、治君もそうだと思うけど、沙耶の事ってだいたい分かっているつもり。
でも、最近気付いたって言うか、肝心な時に見つけれなくさ…聖臣の方が先に気付く事が多くなった気がして…。
何だろう?気持ちが、追い付かなくて逆に沙耶が心配してくれる…それも嬉しいけど…俺、何言っているんだろうな」
「それって、沙耶に対して佐久早の方が、何でも分かるから焦っとるの?それとも、佐久早に嫉妬してるとか?」
「……」
「無言ってことは、図星か…」と声のトーンが低くて治君が、まるで自分の事みたいに言っているように聞こえる。
「子供頃って何でも無邪気なままで、双子だからツムと半分個ってことが多かったけどなぁ。
この年になるとそうもいかへん。
沙耶は、半分個なんて出来へんよ…誰かの物になるまでそれが続く。
少なかれ、俺もツムも沙耶を好きになった、違うな…意識し出した時から始まっとったんや。
それって、嬉しさも苦しさも一緒やから、どうそれに向き合っていくかと俺は思う。
ちょっとした事やねんけど、俺よりもツムの方が、沙耶の事で先に気づく事あるねん。
マジでムカつくし、俺自身何で分かってあげれんのか戸惑うし焦るけど…それでも好きやから」
「あっはは、俺も同じだ」
確かに、手術するために体力をつけなきゃいけなくて、無理して食べて嘔吐を繰り返していた時は、誰にも言えずにいたのに、それに気づいたのは二人だけだ。