第5章 ふわりふわり揺れる思い
聖臣side
「話って?何の?」
手術の事では無いのは、雰囲気からして分かっていたがあえて言わず、あちらから話すよう仕掛けてみる。
「佐久早君も人が悪いなぁ、言わなあかんの?まぁいいか。
あの日、沙耶が、佐久早君を泣きながら呼んでいるって知った時、なんだか負けてる気がした。
でも、なんやろう…そう言われても仕方がないって思った部分も正直ある。
俺達と過ごした時間より長いし、信頼してるのもわかるから。
せやけど、沙耶に対して好きな気持ちは、佐久早君と変わらんよ。
改めて気持ちの整理もついたし、俺がどうありたいか、沙耶にどう思って欲しいかが重要やねん。
この気持ちを確かめるために、サムに内緒で沙耶に会いに行った。
もう一度、『好きや』って言ってきた。
そん時の沙耶は、どうしたらよいのかわらんって顔して困らせたけど、沙耶には、ずっと笑顔でいて欲しいねん」
笑顔か…俺も同じ事を伝えた。
ありのままの沙耶でいて欲しい、ずっと笑ってて欲しい。
宮侑も同じ気持ち、何だか複雑だな。
やっぱとコイツは、天敵でありバレーでもポジションは違うがライバルだ。
「お前と同意見だ。俺も沙耶とあの日話をした。
沙耶に好きだって伝えてある。
沙耶の反応は、自分を好かれる事が疑問に思っている。
それも、今の自分では何も返せないとか、俺達が、同情で好きになってくれたと思っているみだいだった。
そのまま話を進めていけば、今にも壊れそうな感じだったから、あえて告白の返事とか聞いてない。
お前もそうなんだろう?」
宮侑も頷き、溜息が漏れていた。
アイツも感じている?沙耶の中で、何かが壊れていく感じと、別の人間になったみたいでうまく踏み込めない。
「佐久早君も感じているならわかると思うけど、沙耶なのに沙耶じゃない気がする。
サムは、それに気づいてない。
むしろ周りには、分からんくらいの感じやから。
古森君は、どうなん?」
「一緒だ、たぶん分ってない。騙されているって言わば聞こえが悪いが、ふとした時に冷めた目をした別人のような感じがする」
「やっぱりそうなんや…」
元也と宮治には分からない沙耶を共有していた。