第5章 ふわりふわり揺れる思い
聖臣side
遠く見つめては浅い呼吸をしてから今度は、目を逸らさず俺を見つめくる。
「今日…聖臣から好きだって、言われて考えてた。
今まで、聖臣と元也と3人一緒にいるって当たり前で、二人共特別な幼馴染で同級生、時には頼れるお兄ちゃんみたいな存在って思ってた。
だから、聖臣の“好き“って妹みたいな存在、家族愛的なものかなって思っていたの…でも、特別だって一番大切な子だって言われて疑問だった。
モヤモヤしたまま侑君と治君が、会いに来てくれて複雑な気持ちもなくなった。
二人といると楽しくって、ずっと笑っていたの。
侑君と治君のいる空間は、いつも太陽みたいに明るくて眩しい…そんな二人から『好き』って言われて、また混乱した。
パニックを起こしてたら、元也が来てくれていつものように話を聞いてくれるって思ったのに…。
話の途中で、いきなり怒りながら『無防備』とか『許しずぎ』とか言われても訳分からなくて、その後、『アイツらよりも大好きなのに』ってやっぱり複雑になった。
・・・みんなのこと、好きだよ。
けど、なんかわからなくなった…なんで、私なの…。
なんで、好きだって…特別だって言ってくれるの?」
どんどん暗くなる沙耶の手を握ろうと手を伸ばそうとした時、俺が傍にいるのにどこを見ているのかわからない表情していた。
「本当は、こんなふうになった私に同情してくれてるのかな?…」と呟く。
何言ってんの?
同情ってなんだよ。
好きだって気持ちまで、全否定されている気持ちになった。
「ふざんけんなよ!そんな気持ちでお前に”好きだ”って言ったわけじゃない。
なんでそう思う?
そんな風に思うなよ、俺の気持ちまで否定するな!」
さっきよりも大きな声を出したため、またビクつかせてしまった。
「ごめん…大きな声出した…俺は…小さい頃からずっと好きなんだ。
その気持ちは、例え沙耶に何があっても変わらない。
一番宝物で、一番大切にしたい子だから、泣かせるような事したくない。
俺も元也も…嫌だけど宮達もそうだと思う…。
だから…なんで自分なのかとか思うなよ。
同情とかで言えるほど俺の気持ちは、薄っぺらいものじゃない。
沙耶…好きだよ…」
泣きそうな悲しい顔をしていて、それでも言い聞かせるように、もう一度気持ちを伝えた。