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触れる度に愛を知る【ハイキュー】

第5章 ふわりふわり揺れる思い


聖臣side

南條先生から去り際に言われた。

「お前…沙耶に好かれてるんだな…泣きながらお前の事呼んでいたよ」

肩をたたかれ口調が、イラついているのがよくわかる。

『調子に乗るなよ、ガキ!!』と、威圧感を出しながら去って行く。

その後、宮達の母親から俺を呼んでいると聞かされ、宮兄弟や元也にさえも目を合わせず病室に向かう。

病室に戻ると、スヤスヤ眠る沙耶の寝顔。

少し落ちついたのか、呼吸も正常に戻っている。

沙耶の頬に触れれば、涙を流した後に気づいた。

「いつも熱が出ると、不安になるもんな。

一人でいるの嫌いなくせに、明るく振る舞って誰にもわからないように隠すけど、俺は知っている。

人一倍寂しがり屋で、強がりで他人のことばっか気にして…だから…俺が居ないとダメなんだ。

気づいてやれるのは、俺だけだ。

元也も宮達もソレは、わからないだろう?

何が不安で何が辛いかなんて俺だけが、理解していればいい…俺を選べよ。

沙耶・・・俺がいれば、何もいらないって言えよ…」

大きい一人事だ…沙耶が、こんな事になって多くなった気がする。

今日、沙耶が、熱を出した理由も何となく察していた。

俺を筆頭に、アイツらも告白したんじゃないかと。

元也もなんて予想外な展開に、正直焦るところはあるが、特に宮侑…アイツは、俺に向かって 『本気でいかしてもらう』とか『ずっと好きや、好きでありたいねん』って言ってきたな。

人を好きになるのは、時間も場所も関係がないって女子バレー部の先輩が言っていた。

確かにそれはわかる。

告白のタイミングも、ただ俺とアイツらも同じだっただけだ。

けど、沙耶と共有する時間が長いのは、誰よりも俺の方が各段に長いはず。

先輩が言った言葉…”時間も場所も関係がない”沙耶に選ばれるのは、誰もが一緒の条件なのか?

無条件で俺のところに来るには、どうしたらいい。

思考錯誤しても見つからない。

人の心は、移ろいで脆くて儚いって、何かの小説に書いてあったのを思い出す。

「沙耶…好きだよ、俺もずっと好きだよ」

唇がふれると、ふわりふわり香る甘い蜜。

「きよ…おみ…?」

離れていく唇から甘い声が、いつも心ごと持っていかれるんだ。
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