第4章 宮兄弟の愛し方
「あ〜やっぱりそうなんだ!きよっ幼馴染みにも言われたんだよね?
会場で、会っているって!
何?侑君も治君も学校の応援とかで来ていたの?」
空元気で言ってみたものの、反応はイマイチ。
「ごっごめんなさい…。
私…事故に合ったみたいで、なんかいっぱい抜けているのかな?
気分悪くしたらごめんね」
「そんな謝らんでえぇねん…俺は、そんな顔させたくて来たんやないで。
笑わしたくてココに来た」
侑君は、首を振りながら治君とは反対の頬を擦り、ニッコリと笑ってくれる。
「事故に会ったのは聞いてこの前、様子を見に来たけど…その後中々来れんくてごめんな。
今日は、沙耶の笑顔をたっぷり見るために早起きしてきたんや。
ツムなんか目覚まし何個セットしてきたと思う?
コイツ中々起きなくて、アラームがうるさてかなわん。
ほんまバカとしか言いようないねん」
「はぁ?バカってなんやねん。
サムが、アラーム止めるからいけないんやろ?
俺が、どんだけ苦労してセットしているか知っとるか?」
「知らんわ、そんなもん」
あぁ、始まった!いつもの侑君と治君だわ。
これは、止めないと収拾つかないかも。
「コラ!やめなさい!!いつも言っているでしょう?
兄弟ゲンカなし、仲良くね」
「誰がこんなやつと!」
「何か言った?侑君」
「ごめんなさい」と恐怖に青褪める侑君を尻目に、治君は、あざ笑うかのようにアッカンベーをしている。
騒がしい光景も昔のまま。
けど、小さな男の子から逞しい男の子に変わっていく。
聖臣と同じで凄く戸惑っている。
以前よりもカッコいいと思ってしまうのは、ミーハーな女の子と一緒かな。
「なんや?見惚れた?」
「えッ?!やぁーあーごめん!ちょっと見過ぎたかな?
前より逞しくなったから、違う人みたいに思っちゃって。
バレーやってると鍛え方違うんだね」
侑君の腕をツンツン突くと、満面の笑みで見つめてくる。
この時の侑君は、超ご機嫌モード。
その隣で、ご機嫌斜めになりつつある治君がいる。
「なんや、ツムばっかり…俺だって変わったやろ?」
捨て猫みたいな顔で、甘えてくるってどうなの?
母性本能が、擽られてむず痒いよ。
二人の周りには、可愛い女の子がいっぱいいるんだろうな。
なんか羨ましいかも。