第3章 目覚める瞳
聖臣side
朝日が昇る頃、携帯のアラームが鳴る。
決めれられた時間に起きて、ランニングに行く準備にとりかかる。
まだ、家族は眠っているため、リビングに書きを置きをして出掛ける事が、約束されていた。
3週間前と違ったコース。
沙耶が事故にあった後、日課としたランニングも休みがちになり、何をするにも生きづらくて集中できなかった。
そんな折、バレー部の監督からの呼び出し。
当然、沙耶の事故の事を知っているだろうし、それが原因で調子にムラが出る。
わかっていてもそれを解消出来る訳でもなく、歯がゆくてイライラもした。
マズイと思いながらもスパイクのミスが目立ったため、呼び出されたのは間違いない。
「佐久早、調子はどうだ?」
「あっ…すみません…集中出来てないです」
「う~ん、俺から言わすとお前は、まだ1年だがレギューの座を3年から勝ち取り、インターハイでも結果を出したと思っている。
だがな、試合やレギュラーに選抜されなかった3年生にチャンスは、もう春高しかない。
その意味は、わかるよな?
白城の事故は…俺にとっても辛い。
お前が、そんなんでどうする?
白城が戻って来たときに、胸を張ってコートにたてる選手になれ」
頭に突き刺さる思いだった。
元也も同じ思いをしているのに、俺だけが不貞腐れている。
「すみませんでした。
沙耶が目覚めた時、俺が俺でいられるプレーを見せてやります」
それからだった。
ランニングコースを沙耶がいる病院の方向に変えた。
iWatchをはめて、いつでも連絡が取れるように。
なるべくバレーの中心に考え、バレーをする時間を没頭するよう集中していた。
そうなれば、自然とスパイクが決まるようになる。
今までの絶不調が、嘘の様に思えた。
沙耶の事を考えると、それ以外はダメでポンコツに近い状態だったと思う。
沙耶の声や仕草…その全てが、映像化されて今にも傍にいるような感覚。
たまに振り返る事もしばしば。
以外に脆いかもって思える程、沙耶が傍に居ない時間は、よく堪えたなと微笑した。
「今日の天気は?」
『良好』とiWatchで確認し、朝の空気を吸う。
よし!と着合い入れながら、沙耶の好きな音楽を聞きながら走り始めた。