第3章 目覚める瞳
「はぁ~わかった。
元也にも見せるけど、条件がある」
「条件?まさか?」
「ちゃんと俺の言った点数取れよな。
見せてやるんだから、それぐらい取れて当然だよな?」
元也の悲鳴が、病室を木霊する一方、いたずらっ子のように微笑む聖臣が、魔王にしか見えない。
あらら!と思いながらもよしよしと、元也の手をゆっくり擦ってみる。
それを見た魔王が、噴火するまで0.5秒。
全て教科を90点以上とれ!という、ハイスペックな点数言われて悶絶する。
「もう、聖臣意地悪しないで。
わからない事あったら、ちゃんと…教えてあげてね。
私も…頑張る」
また溜息を一つつくと、「沙耶にお願いされたら教えてやらないといけない」と不満タラタラだった。
頑張ろう!と元也を励まし、「お願いします」と上目づかいで聖臣に言えば、仕方ないと言った感じで受け入れてくれた。
病院内からアナウンスが流れ、もう面会が終わる時刻。
先に帰る元也を見送り、一人残った聖臣が、離れずらそうにしている。
「どうしたの?」
「うん?別に何もないけど?
それより、大分起きてたから辛くないか?
元也ばっかりしゃべってたけど、聞く方も疲れるだろう?」
優しく頬を触ってくれるから、何だか安心してしまう。
「うん、大丈夫…それよりも聖臣達のほうが…疲れてるんじゃない?
何時間もここに…拘束されて疲れた?」
「いや、俺は、あいつの話を聞いてやってるだけだし、ソレを聞いて沙耶が、笑ってくれてたからいいよ。
クソつまんねぇ話しが、9割程だったのが否めないけどな」
言い方がきつくなっても穏やかに話てくれるから、落ち着いてきちゃうな。
「眠いか?」
「ううん…ん、そんな事…な…いよ」
「無理しないって、言ったばっかだろう?
眠いなら眠るまで、傍にいるから」
「もう…面会時間…すぎ…てる…ごめん…ね」
「バーカ謝んな。
俺が、居たくて居るだけだし、こうやって手握って寝るのも昔からだろう?」
そう言いながら、手を握ってくれる手は温かい。
「眠って沙耶・・・恐くないよ」
やっぱり、見透かされてたな。
もう落ちそう、ダメだ。
「ありが…と…」
最後まで言いたかったのに、言えなくて温かいぬくもりに誘われながら、眠りに落ちた。