第3章 目覚める瞳
「明日は、部活が終わったらすぐに来るから、それまで大人しくしている事。
寂しくなったり、不安になったら俺でも聖臣でもすぐに電話やLINEして。
夜遅くてもいいから、あっー部活している時は、出れないかも知れないけど、ちゃんと監督に言って、緊急避難用意として近くに置いとくから。
休憩中でも見るようにしとく。
絶対意地張らないで、俺も聖臣いつも心配しているからね」
小さな子供に言い聞かす様に言うから、少し笑ってしまう。
「もう、子供じゃないから、大丈夫だよ…」
「沙耶の『大丈夫!』は、一番怪しいって言ってんの。
本当にしんどい時、お前すぐ隠すじゃん。
元也もそれを知っているから言っているし、心配で堪らないだよ」
あぁ二人が、悲しい顔している。
これも私が、させているんだよね。
「わかった…ちゃんと連絡します」
元也と聖臣は、頭を交互に撫でてくれた。
面会時間ギリギリまで二人は、居てくれてその間、主に学校の事が話題になった。
3週間近くも学校を休んでいたせいか、勉強の事が気になる。
井闥山学院は、文武両道をモットーに生徒達は、必死にやっている子が大半。
数学が嫌いな私にとって、この遅れはかなり死活問題。
恐る恐る聖臣に聞くと、進んでいる内容を聞くなり卒倒する勢いだった。
マズイの言葉しかない。
泣きつきながらも頭いい聖臣に縋りつくと、ちゃんと各教科事にまとめてくれたノートを持ってきてくれることになった。
さすが!!と思いながら、その横で元也が、「沙耶だけズルイ、俺にも見せてよ~」と言うと、露骨に嫌な顔する聖臣。
「いじめる~聖臣が、いじめる!!
沙耶なんか言ってやってよ」
「お前な、沙耶に縋りつくなよ。
だいたいお前が、授業聞いていないのがいけないんだろう?
聞いてれば、だいたいわかるから」
はい!きたよ!頭いい人は、コレ言っちゃうだよね。
「聞いてればって、頭いい奴にしか通用しない魔法の言葉だよね?沙耶~」
「うん、そうだね~私達じゃ、それ言われるとツライかも」
うんうんと元也と一緒に頷くと、聖臣の不機嫌度が2割増しになった。
それを見てまた笑うと、元也も聖臣も吊られて笑っていた。