第3章 目覚める瞳
数時間後、元也とおばさん、おじさんも駆けつけてくれていた。
「沙耶、わかるか?沙耶!」
再び意識が、浮上する。
ここどこ?何コレ?
酸素マスクしてる…。
「沙耶聞こえるか?
わかるなら俺の手を握り返して」
聖臣の顔が、はっきり見える。
何だか泣きそうでもあり安心もしているようで、いつもの聖臣じゃない。
「沙耶聞こえる?わかる?元也だよ。
意識が戻ったって聞いて、めちゃくちゃ走ったって」
元也は、泣きながら「よかった!」って、頭を撫でてくれる。
「ここ…ど…こ?」
小さな声で伝えて見れば、不安な顔をする皆。
「沙耶覚えてないのか?
おばさんと出かけた帰り、事故にあったんだ。
それからずっと眠り続けていて、もう起きないか…と思った…」
信じられないほど、弱弱しい聖臣の声。
震えながら伝えてくる言葉は、かなり状況が最悪だったと思えた。
「事故…?…お母さん…お母さんは?」
ハッとした表情をした聖臣と元也は、二人揃って目を逸らした。
「白城沙耶さん、目を覚ましたようだね」
背後から現れた白衣の先生。
「気分はどう?頭痛いとかない?」
除き込むように顔色を伺いながら、バイタルのチェックをしている。
「不安な顔をしているね?
心配しないで、ここは病院だよ。
俺は、君の主治医の南條海斗だ。
君の…君のお母さんも主治医でもある」
追加の点滴を終えながら、先生はにっこり微笑んで今までの事を話してくれた。
事故にあったんだ…通りで体中痛いわけだ。
特に、右腕と右足が少し動かすだけでも泣きたいくらい痛い。
「それじゃ、少しこれからの事と君のお母さんの事を話しをしようか?」
「待ってちょうだい。遥の事は私から話すわ。
あんたじゃ不安要素を掲げるみたいで、生きた心地しないのよ」
話をし始める先生を遮るように、聖臣のお母さんが不機嫌丸出しで言い出した。
「ふざけるな、俺は主治医だぞ。
クライアントに話すことは当たり前だ。
お前にどうこう言われたくない。
それより何でお前までいるんだよ。
俺は、お前に連絡したんじゃない、和臣に連絡したんだぞ」
「ふざけた事言わないで。
あんた喧嘩売ってるの?
本当バカにつける薬はないって言うけど本当ね」