第7章 文化祭② *
聖臣side
「ちょっ!もう聖臣ソレって!」
「何?ふ〜ん沙耶は、何想像してるんだ?」
不敵に笑いながら、沙耶のおでこを小突いてみる。
口が、パクパクしてて今にも溺れそうだな。
呼吸困難になる前に、救出してやらないと後が大変だ。
「冗談だ。今のは意地悪が過ぎた。
そんな顔してると、何が何でも続きをしたくなるけど?」
少し泣きそうな困惑した瞳で見てくるから、加虐心が芽生えてしまう。
「ホラ、今もその言い方!もう〜意地悪‼︎」
胸をポカポカと叩いても、子猫が戯れるしか見えない。
「ハイハイ、そうだな。俺が悪かった」
細い手首を掴んで近づけると、ビクつく沙耶の頬に口づけし、そのままガブリと甘噛みしてみる。
「痛い‼︎」
「ソレ嘘だろ!甘噛みしただけで痛くないだろう?」
「痛いもん!」
今度は、涙目からプクっと膨れて怒った顔。
今日は、色んな顔を見せてくれるな。
あぁ、やっぱり誰にも見せたくない。
「本当に、痛いか?」
怖がらせないように、甘噛みした頬を摩って甘やかす。
普段あまりやらない行為だが、さっき理性をやや失って一周回った感情は、抑えておけるわけもなくジリジリと攻めてみるのもありだと脳内に木霊する始末。
そう言う責めぎ合いをしている時に限って、あの大きな瞳から訴えてくる。
それが、例え涙目になろうが羞恥していようが、沙耶から目線を外すわけもなく俺を見つめてくるのだから。
挑戦状でも叩きつけられている気分にもなる。
負けたくねぇとその変な理屈を捏ねている時間も、今は惜しいぐらいだと言うのに。
だが、沙耶の仕草一つで全てが逆転する。
「痛く…ないけど…あんまり意地悪しちゃダメ」
「なっ!そう言う!あぁ〜もう〜そう言うところだよな!」
瞳をウルウルさせて上目遣いで、普段の2倍甘えた声で縋りついてくるんだから、反則もいいところ。
その時点で、完全に俺の負けが決定する。
意地悪のは、一体誰なんだよ。
「沙耶…ソレ誰にでもするなよ」
「えっ?何?その顔って?」
やっぱり、自覚が無いんだよな。
「だから、その甘えた仕草だ!男だったら即落ちだろ」
「何それ?よくわかんないけど、えっあー気をつける?」
全くソレやったら即監禁ものだ。
覚悟しろよ。