第7章 文化祭② *
聖臣side
反則の域を超えた戦いに惨敗したところであっても、このホットケーキとフロートをクラスメートに披露しなきゃいけないのか。
あぁー食べさせないと、後々木崎あたりがうるさいよな…。
めんどくせぇ。
考えるのも億劫になっているタイミングで、木崎と元也が戻ってくる。
「アンタ達、まだやってんの?」
「いや、今完成したところだ」
「あっそう」
白々しく嘘をつく。
横目で沙耶を追いかけと、後ろを向いてパタパタと赤い顔を仰いでいる。
あぁ、さっきのやり過ぎたか。
フッと笑っていると、木崎と元也は不機嫌さを露わにする。
さっきの見られていたのか?
木崎が、ホットケーキに目をやると、その不機嫌さは一瞬にして緩和されいた。
けど、元也はまだ睨みつけている。
へぇー普段見せない顔をちらつかせて、以外だな。
そんなに嫌なら、さっさと言えばいいのに。
沙耶と戯れた時間が長過ぎたのか、ホットケーキも少し冷めてしまい、フロートに入れた氷は少し溶けてしまっていた。
「つまんない嘘つくよね、佐久早は!」
木崎が、ジロリと睨んできたがそのまま無視を続ける。
横でハラハラしている沙耶をよそに、元也も何も話さずと言うより他人行儀に聞いているだけだ。
「食べないのか食べるのか、はっきりしたらどうだ?
まぁ、折角沙耶が作ってくれたんだ、お前らが食べなきゃ俺が食べるが」
一瞬への字に曲がった木崎の顔に、『怒ってますから』とオーラが滲み出ていても、それに突っかかるのも面倒だ。
「アンタに言われなくても全部食べるわよ!」
一切れサイズに切ったホットケーキを食べると、たちまち目の色に輝きが増す。
全く持って分かりやすい性格だ。
続いてフロートに手を伸ばし、ゴクリと美味しそうに音が鳴る。
お花畑にいるように上機嫌そのものだ。
「あっ言い忘れたがそのフロートは、俺が考案したやつだ」
「えっっ‼︎」
固まる木崎を沙耶が、勢いよく肩を揺らし叫んでいる。
「結衣ちゃん、しっかりして!
聖臣が、考案したって言っても私が作ったんだから〜」
「ハァ〜?ふざけんな、木崎。
俺が作ると、マズイことでもあるみたいな顔するなよ」
ギャギャ言ってる側で、元也がキョトンしたかと思ったら突然吹き出した。