第7章 文化祭② *
学校から数メール離れた場所にある大型スーパーは、普段立ち寄らないから色々目移りしてしまう。
聖臣は、いつものように片手でカートを引いて、反対の手は自然と恋人繋ぎに変わっていく。
文化祭受けが良いものがいいと、物色しては聖臣に『コレ美味そう』と話しかける。
「フロート…甘酸っぱいハチミツソーダーとホットケーキもいいかも。
ホットケーキのトッピングに生クリームと果物なんかいいかも」
「ハチミツソーダーは良いとして、ホットケーキのトッピングは、あまり甘くないやつも用意したらいいんじゃないか?」
「あっそうか!女子はいいけど、男子とかはサンドイッチ的なものとかがいいかな?」
「まぁ、それもありだよな。例えば…」
聖臣が、思案した先はパン生地だ。
マフィンや食パンをチョイスをしてくるけど、しっくりしてない様子。
「じゃ、卵とベーコンにレタスとか、ちょっとした軽食なら女子も食べれるかも。
さっき言ってた食パンの耳をとれば、サンドイッチになるしね」
「余ったパン耳はどうするんだ?」
「パン耳は、砂糖をまぶして揚げればラスク風になるから、それはそれで小さな袋に入れて小売出来ると思うよ」
いくつかのアイデアを出し合い会計をすませれば、みんなが待ち構えいた。
でも、様子が何故か違う。
真っ赤な顔を隠すように舌打ちする男子とキャーキャー悶える女子達に混じって、至って平然とした結衣ちゃんは溜息を漏らしている。
「ホント、沙耶達見てたら、リア充の重みが痛いわ」
リア充って!何の話?
「首を傾げないで〜沙耶可愛いすぎだから」
首を掲げていると、キャーと効果音がつくかのように抱きついてくる。
それを見るなり、聖臣が咄嗟に結衣ちゃんを引き離しにかかる。
引き離された先は、聖臣の腕の中で最近はこの腕に包まれると落ち着く。
胸に擦り寄ると困った顔で、上から見下ろしてきた。
「ハイハイ、ご馳走様」
結衣ちゃんは、手のひらを返すようにクラスメートと来た道を戻って行く。
結衣ちゃんの行動がよく分からないでいると、聖臣は耳元で囁いた。
「無自覚…外であんまりソレするなよ」
「へっ?」
「フッ、沙耶はーー」
冷たい風に、聖臣の声が聞き取れない。
ちょっと意地悪な笑みを漏らしつつ、納得ができないまま学校に戻るハメになった。