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触れる度に愛を知る【ハイキュー】

第7章 文化祭② *


元也side

なんでこんな時に、沙耶が来るんだよ。タイミング悪すぎ‼︎

「そんなに走るな!」

心配する聖臣は、沙耶の方まで駆けて促す。

「だってなんか、元也と聖臣揉めてるみたいだったから…心配になって」

泣きそうな顔で、俺や聖臣を交互に見てくる。

何やってだよ!俺は、あんな顔させるために、傍にいたいわけじゃない。

「沙耶ごめん、今日俺先に行ってっ」

「大丈夫、元也だってそんな日もあるよね?

困ったり悩んで事あるなら、いつでも言ってね。

こんな私じゃ、頼りないのは分かってるんだけどね」

俺の言葉を遮り、悲しそうに微笑む沙耶に心が痛い。

でも、聖臣は俺に対して睨みつけてくる。

まるで、中途半端に沙耶に絡むなと言わんばかりに。

「沙耶そんな顔するな…元也は、大丈夫だから。

ガキじゃないんだから、言いたくなったら自分から言うだろう」

そう言いながら、沙耶の手を掴んで抱き寄せている。

その光景を目にした途端、この間の沙耶と聖臣の事を思い出し、一瞬にして黒く塗り潰されそうだ。

「元也、さっき言った事だけど曲げるつもりもない。

だからお前次第だ!」

俺次第…。

そのまま沙耶の手を掴んで、体育館に向かっていった。

あぁ…聖臣って嗚呼言う時ほど、強いものはない。

いつもは、なんでもネガティブ思考のくせに、そのくせ思いついたら即実行。

それも、完璧じゃないと譲らないし、手放しもしない。

沙耶もそうなんだよな。

俺は、沙耶に対しても聖臣や宮兄弟にしてもあんなに強く言えるのか?

…病院でもこんな事あったな…。

あの時は、聖臣と侑君が揉めてたから、止めるのに必死だったけど。

強い思いを伝えていたのは、聖臣と侑君の二人だけだった。

沙耶の事、あんなに思ってたのに…なんだかな。

俺の思いの方が、小さいのかな…。

手を握る力を強め、一人取り残された気分だ。
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