第7章 文化祭② *
元也side
「本当…いい加減ムカつく!その独占欲!それに…沙耶とはそう言う関係なわけ?」
「……………」
ダンマリかよ!
「元也のそう言う関係って、どう言う意味の?」
「だから、付き合ってるかって事⁈」
手に口を押さえたまま何も言わず、言葉を選んでいるみたいでやけに慎重だ。
「別に付き合ってはない…けど、恋人みたいに奥まで触れたりしたよ」
奥に触れるって、何?
やっぱり、沙耶を抱いたって事?
「それって、沙耶としたって事?」
俺と目線を逸らす事なく頷く聖臣は、男らしい。
それと同時に、嫉妬や悔しさでぐるぐる回り破裂しそうだ。
「ハァ?…なんで?…どうしてそうなった?」
「沙耶は、何も悪くない…俺が求めたから、赦してくれただけ」
「赦すって、そんな簡単に自分の体を渡せるのかよ。
それって、沙耶も好きって事なんじゃないのかよ!」
「そうだな…俺が、好きって言わせたからな。
男としてなのか幼なじみとしてなのか、俺にはわからないけど。
ただあの時、体を俺に委ねてくれたから、沙耶を抱いた」
好きって言わせたとか委ねてくれたとか、聖臣の行動には驚きもあるけど、俺とは真逆。
俺は、自分に向くまで待つつもりだった。
そんな事したからって、自分のものになる訳でもない。
だけど、どんな理由であれ沙耶は、聖臣に抱かれたのは事実。
「元也、勘違いしてるかもしれないけど、俺は沙耶の全部を貰ったわけじゃない!ほんの一部分だけなんだ。
それでも、俺は嬉しかった…ほんの一部でも俺に縋って甘えてくる沙耶が、愛しくて可愛いと思えた」
聖臣の表情は、穏やかで愛おしそうに沙耶を思いながら一言一言が重い。
ドクンと心臓が痛い程高鳴る。
「元也は、どうする?」
「どうするって何が?」
「俺は、お前に対しても宮兄弟にも、沙耶にも気持ちを伝えた。
お前から何も聞いてない」
今さら言ったって…。
なんだ俺…こんなに臆病になったのかよ。
「元也が、この先沙耶を好きでも、譲るつもりなんてないから…それだけ言っておく」
クソっ!!何も言い返せない。
拳をギュッと強く握ったまま沈黙していると、沙耶が様子を見に走ってきた。