第7章 文化祭② *
聖臣side
「白城の事を良くも悪くも分かっているのはお前だけど、あの表情にグッとくるもんがあるだよな。
表情がなぁ…語っているって言うか、愁いで儚げな姿が綺麗に見えるから、今後白城の周りに他の男が黙ってないかもな」
「マジで止めて下さい!まぁ…先輩が言う通り昔から沙耶は、綺麗なのは変わりませんよ。
それに、飯綱先輩からも分かるぐらいなら、アイツの儚げな姿は、他の誰にも見せたくないですね」
「ハッ!分かりやすい嫉妬だな」
先輩が、真面目なのか揶揄っているのか、分からない素振りを見せる。
「先輩…」
「先に行ってる」
飯綱先輩は、ニヤリとしながら更衣室を後に俺も胸のモヤモヤが消えないまま外に出た。
「朝から水浴び?」
聞き覚えのある声の主に顔を洗いながら、横目でソイツを見る。
「お前なぁ、元也をいきなり借り出すのやめろ!!」
「別にいいじゃん」
不貞腐れた顔で突っかかっていく木崎に呆れる。
「で、実行委員のお前が来て、何で元也来ないんだよ」
睨みつけて聞いているにも関わらず、相変わらず聞いてないような素振りを見せるから、イライラする。
「それは…あんたが悪いと思うけど?」
「はぁ?何訳わかんねぇこと言ってんの?」
「自分の胸によ~く聞いてごらん?
久しぶりって言うか何年ぶりだよ!あんな元也見るの」
俺が悪い?何したって言うんだ?訳わからん。
何もない・・・何…も…?
「アンタのその顔、何かわかったんじゃない。
私は、大方沙耶がらみだと思っているけど?」
「…知らねえ…」
「まぁいいわ!それより沙耶と一緒にいたんじゃないの?沙耶どこよ?」
「…体育館」
「はぁ?アンタ、バカじゃないの?この間、倒れたばっかじゃん。
よりにも何で行くの?ハードル上げすぎ!!」
ギャンギャン怒鳴り散らすように、甲高い声が響く。
「うっせぇ、お前には関係ない!!」
「関係ないって、私は沙耶の親友だよ。関係ないなんて言わせない」
相対する瞳が、寒空に響いて息が詰まる。