第7章 文化祭② *
聖臣side
体育館に沙耶を一人残して、バレー部の控え室に飯綱先輩と向かう。
「お前さぁ~そのツラ、白城には見せるなよ」
「はぁ?何ですかソレ?」
「後で顔見てみろって!いつに増して眉間に皺寄せすぎ!
それに、そんな不安な顔してたら、アイツだってどうしたらいいかわかんなくなるぞ」
不安か…。
朝もそうだった…家から出る時の沙耶のあの表情も、体育館に中々行けなくて怯え途惑うのを見てたら、どうにもこうなる。
「すみません、顔洗ってきてから沙耶のとこ行くんで、先に行ってもらっていいですか?」
「それは、いいけど…お前のその態度やその表情も白城しか見せないんだな。
いつもそんな風にしてたら可愛げあるのに」
「茶化さないで下さい、飯綱先輩!」
「悪い悪い!それより、白城ってなんかなぁ~どう言ったらいいんだろうな・・・」
考え深げに言葉を選ぼうとする飯綱先輩を凝視する。
「強いて言えば、前とは違う気がする。
白城って、元気で無邪気で可愛いって感じだっただろう?
学校復帰してから、何か心に秘めて今にも泣き出しそうなアレ何なの?
あんな顔してたら、俺を含め健全な男子高校生なら庇護欲に掻き立てられるし、衝動的に構いたくなってもおかしくない」
庇護欲…飯綱先輩が言ってる事は当たってるが、最後の一言は余計だけど。
「飯綱先輩って、よく見てますね」
「嫌味かよ!まぁ、俺はセッターだからってのもあるけど、よく人を見るように日々心がけてるからな」
「先輩…沙耶は、強いようで弱いです。
普段から本音を言わないから、爆発したらかなり危険なんで」
「それって、今爆発中って事?」
「そう…ですね」
『ふ~ん』といいながら着替え始める先輩は、納得できていない感じでどう話そうか、次の一手考えている感じだな。
「不満そうでね…」
「そうでもないさ、お前や古森がいつも傍にいるから、爆発してもそう危なかっしいわけでもないだろう?」
「どうですかね?本人は、隠したくてしょうがないみたいだし」
先輩は、アハハと笑いながらクシャと俺の頭を揶揄うように撫でていたが、すぐに真顔に戻った。