第7章 文化祭② *
「白城の事になると、歪みすぎだよな。
何度も言うが、お互い潰れてしまったらお前のプレーだって、少なからず影響が出る。
お前は、このチームの要の選手なんだ‼︎今年こそは、春高・IHと連覇を狙う。
白城にばっかり追われてると、足元救われるぞ」
「影響って、何なんですか?沙耶とそれとは関係が無い」
「プレーに集中しろって言ってんだ‼︎」
先輩の声が、廊下に響き渡り追い打ちをかけるように、心が沈んでいく。
でも、聖臣は違う。
いつもの凛とした態度で、先輩を見ている。
「先輩は、俺達に離れろって言ってるんですよね?
俺は、沙耶と離れるつもりはありません。
あの日の試合も沙耶が、俺を応援してくれたからスパイクを決めれた。
いつだって、沙耶がいてくれるから、全力を出せた。
それに、先輩達に簡単にレギュラーの座を奪われるつもりもない」
「はぁーったくお前は、ホント曲げねぇよな。
そうだなぁ~お前は、こうって思ったら直向きに向き合うもんな」
聖臣の言葉に、心が温まりいつの間にか痛みも消えていく。
先輩に真を曲げず直向きに向き合うって言われて、やっぱり聖臣は、そうなんだって思える。
先輩は、よく人を見ている。
人に中々言える事ではないのだろうけど、敢えて厳しい事も普通に言えるから強い人だ。
「白城、悪かった…別に俺は、佐久早の事を見誤っているつもりなんてない。
ただ、俺は佐久早の実力を買ってるし、春高からは、俺達の世代になるから、このまま終わらせたくない。
佐久早の真意も聞きたかったのもあるしな」
優しく笑う先輩に、少しだけホッとする。
「あー無理弄りするつもりはないけど、佐久早のプレー見てみないか?」
「聖臣のプレー?」
「先輩!!」
「まぁ、落ち着けって!お前だって言ってただろう?
あの試合、お前のスパイクが決まって優勝したんだ。
そのスパイクを白城に見せてみろ!佐久早は、チームの中でも綺麗に飛ぶんだぜ。
…白城、見てみたくはないか?」
綺麗に飛ぶ?どんな風に?何?ドクドクと心臓が熱い。
「…見たい…です…聖臣が飛ぶとこ」
今度は、先輩の目を真っ直ぐ見て素直に伝えられた。