第7章 文化祭② *
嘘?怒った?どこで間違った?
「やだ…一人にしなっ…」
何言って!こんな事言ったら、うざがられて嫌われる。
だから、咄嗟に口を覆うように話を紡ぐ。
「何で、我慢するの?さっきまで、ちゃんと自分の気持ちを言えただろ。
一人が嫌なら、嫌って言えばいい」
「そんな事言ったら…」
呆れちゃうよ。
強引に聖臣に手を離されて、真っ直ぐに視線を合わせてくる。
「沙耶が、何考えてるなんか分かってるから。
今だって、俺に呆れるとか思っているんだろう?
そんな事一ミリも思った事ないから、お前の考えすぎ!」
「だって‼︎」
「だってじゃ無い!嘘つくなって言ってんの!」
離れたくない、怖い、寂しい…、こんなにも、入り混じった感情を伝えてもいいのかな?
「言えよ、沙耶の言う事だったら、どんな事でも受け入れるから」
「…聖臣と離れたくない…だけど、怖いの…足が竦む…一人になったら寂しい…」
うんうんと相槌を打ちながら、ちゃんと受け止めてくれる。
辿々しく気持ちの整理もつかないまま、ただ言葉を集めて話しているだけなのに。
聖臣は、とても優しく抱きしめてくれる。
「うん、沙耶の気持ちは、分かった。
俺も朝練あるから行かないといけないし、本当は…ずっと傍にいれたらいいんだけどな。
沙耶、俺と少しだけ…ほんの少しだけでいいんだ。
体育館に行かないか?」
「体育館に?」
「沙耶が、怖いのも十分に分かってるし、無理意地するつもりも無い。
けど、どうしても俺が、一緒にいて欲しいんだ」
「一緒に?聖臣は、私にいて欲しいの?」
「いて欲しいけど、それって俺の我儘だよな。
行こう、保健室に行けばあの保険医もいるかもしれないし」
悲しそうな顔で伝えてくる聖臣を見るのが辛かった。