第7章 文化祭② *
「どうした?学校行くの怖くなったのか?」
黙っていると、昨日のことで学校が行きづらいのかと勘違いしているみたいだ。
「そう…じゃないけど」
学校で倒れた原因は、今だ分からない。
記憶が混在し考えるだけで、頭が割れるくらいひどい痛みに苛まれる。
それを忘れたわけじゃないけど…。
ただ、忘れてしまいたい記憶として思っていた方が、幾分かマシに思えた。
傍にいてくれる聖臣や元也と結衣ちゃんに感謝しながら、今出来る事をしていくしかない。
手綱を引いてくれる聖臣の存在が、次第に大きくなってるように感じられた。
「歯切れの悪い…言いたい事あるなら言えよ!時間がかかってもいいから、ちゃんと話して欲しい。
昨日みたいに倒れたりしたら、俺の方が心臓に悪い」
「フッふふふ、そんなにひどかったんだ」
悟られないように誤魔化して茶化す様に言うと、聖臣のから一瞬にして冷たい視線に背筋を凍らせる。
「へぇー沙耶が、そんな風に思ってたなんて知らなかった。
俺が、昨日どんな気持ちでいたかなんて、何もわかってない。
今夜…ちゃんと話しようか?逃げるなよ」
えっ!!!何?マズイ事言っちゃった…。
聖臣の顔が、怖すぎてに真面に見れない。
「あ…聖臣…話って?」
「あぁ、帰ってきたら教えるから、どうせ今言っても無駄だから言わない」
「うっ!」
「ほら、ご飯食べるぞ」
聖臣に強引に引っ張られて目線を合わせないまま、食事を終わらせる。
「母さん、行ってきます」
「おばさん、ごちそう様行ってきます」
「あら、もうそんな時間?学校まで乗せて行くわよ」
「別にいいよ、沙耶と電車で行くから」
今日は、電車なんだ。
時計を見るとまだ、7時を回ったところだ。
元也は、もう来ているかな?
それよりも、さっきから聖臣と目線を合わせてないから気まずい。
こんな事してたら、一発で元也にバレちゃう。
元也の事だから、ちゃんと仲を取り持つようにしてくれるんだろうけど、内容とか言ったら怒られるパターンだな。
どうしようかと思っていたら、聖臣から話しかけてくれた。
「体調は?大丈夫か?辛いなら学校行かなくてもいいだぞ」
さっきとは違って、優しい音色だ。
「あっううん!大丈夫だと思う、あの…聖臣怒ってる?」
聖臣の袖を引張りながら、弱弱しく呟いた。