第7章 はだかのままのヴィナス
「先輩たちも補習ですか?」
「補習なのはアズールだけで俺は違う。俺はアズールの付き合いだ」
ユウの言葉にジャミルはすぐ様訂正を入れる。眉を顰め、「コイツと一緒にしてもらっては困る」とでも言いたげな表情だ。
「ジャミルさんはうちのクラスで一番飛ぶのがお上手ですからね」
「そのお陰でお前の面倒を見る羽目になったがな」
アズールはジャミルに補習に付き合わせてしまったことを全く悪いとは思っていないようで、ユウは思わず苦笑いをした。
「まぁ、その……大変ですね」
「ユウも補習か?君は飛べないだろう」
「!は、はい。ちょっと……一回授業をサボってしまったことがあって……」
"ユウ"と、ジャミルが彼女の名前を言った。
"君"ではなく名前で呼ばれたのは、今回も含め2回目である。
あの時、ユウが一方的に言った約束をジャミルは忘れずに守ってくれた。
そういえばフロイドもユウのことをずっと"小エビちゃん"と呼ぶ。
彼は私の名前を知っているんだろうか。と、ユウはふと疑問に思った。
「あぁ、フロイドに捕まったというやつですか」
「知ってるんですね……」
「えぇ、本人から聞いたので」
さらりと言うアズール。
「注意しておきますね」という言葉をユウは期待したが、彼はしれっとした表情を浮かべるだけだった。
きっとフロイドだからしょうがないとでも思っているのだろう。