第3章 コバルトブルーの怪物を飼っている 2
お昼休み、アズールとジェイドはモストロラウンジのVIPルームで話し合いをしていた。
ソファに座り脚を組み、お互い不敵な笑みを浮かべるその様はまるでマフィアのいけない取引を彷彿させる。
「ヴィルさんからまた化粧水の注文が入りました」
「おや、それではまたフロイドを絞らなければいけませんね」
「次はお前が絞られたらどうです?化粧水の色は変わらないのでどっちも一緒です」
「フフフッ。絶対に嫌です。
ラウンジの冷凍庫に冷凍マグロがあったでしょ。それでフロイドを殴って気絶させましょう」
「あぁ、気絶させるのにわざわざマグロを使わなくても結構ですよ。つい先ほどお前が大量に採ってきたキノコの山を見れば殴らなくても気絶します」
そう、2人がフロイドをどうやって絞るかについて話し合っていると、VIPルームの扉が開いた。
こうノックもなしに扉が開く場合は大抵フロイドである。
アズールとジェイドはピタリと会話をやめ扉に視線を向けると、案の定フロイドがのそのそと入ってきた。
明らかに機嫌が悪そうなフロイド。
アズールは眉を顰め、テーブルに置いてあるティーカップに口をつける。
ジェイドはその様子を見て、アズールが今のフロイドに関わる気がないということを察すると、ひとつ小さくため息を吐き自らの片割れに声をかけた。
「どうしました、フロイド」
のろのろとフロイドの視線がジェイドに向く。
「小エビちゃんが……」
「はい」
「……小エビちゃん、オレのこと嫌いだって………」
「ユウさんがそんなことを?」
ジェイドはにわかに信じ固く、思わず目を瞬く。
ユウがそんなことを面と向かってフロイドに言うとは思わなかった。