第3章 コバルトブルーの怪物を飼っている 2
ユウはジャミルが好きだ。フロイドではなく。
別に"そういう態度"だってとっていなかったはず。やはりフロイドがそう思った原因は赤い糸だろうか。
ユウは最初勇気が持てず聞けなかった事を、恐る恐るフロイドに尋ねた。
「……先輩、赤い糸が……見えるんですか?」
フロイドは一瞬きょとんとした表情をするが、すぐにニヤリとした笑みを浮かべ「ううん、見えないよ」と首を振った。
「じゃあ……何でさっき………」
「えぇ?それはぁ、小エビちゃんが食堂であからさまな態度とったからじゃない?」
「でも……だからって……」
「まぁ、正確にいうとそれだけじゃねぇけど。別によくない?てかさっきから何でそんな青ざめた顔してんの?あ、まさか生理2日目?」
ユウは今度は笑えなかった。
でも確かに。赤い糸のことがバレてしまったが、別にそれだけで決して悪い事をしたわけではないのだからここまで緊張し、顔色を悪くするのも変な話だ。
しかしよりによって糸がフロイドに結ばれており、その本人に結ばれていることが知られてしまうなんて事、純粋に恥ずかしすぎる。
ユウは一度深呼吸をして気持ちを落ち着かせ、もう一度フロイドと向き合った。
「フロイド先輩のことは先輩として尊敬してます。あの、なので……恋愛的な意味で好きとか……そういうことではないので、」
安心してください。
ユウはもう一度へらりと笑う。
彼女はフロイドは迷惑しているのだと思った。ユウがフロイドへと恋愛感情をもってるかもしれないのを彼は嫌がっているのだと思ったのだ。
だから、安心してくださいと言った。