第3章 コバルトブルーの怪物を飼っている 2
ここは名門校だが、年頃の男たちが通う男子校である。なのでよく男子高校生がやるようなことは一通りやっている。エロ本だって持ってきているし、下ネタだって言う。下らない事で馬鹿みたいに騒いだりだってするのだ。
しかし矢張り女子の前では格好つけていたいもので、みんなユウの前では大人しくしていた。
暫くユウとフロイドは取り留めのない話をした。
最近あったこと。面白かったこと。勉強のこと。
意外にも会話は途切れることなくテンポよく続いた。
その中でユウが気付いたのは、ジェイドやアズールの話をするとき、フロイドは少し幼く笑うということ。いつもの何か企んでいそうな笑みではなく、ふにゃりと柔らかく笑うのだ。
ユウはフロイドのその笑顔が好きだなと思った。
雑談を続けていると、フロイドは唐突に「そういえば」と話を変える。
「小エビちゃんってオレのこと好き?」
「え?」
それは本当に突然すぎる問いだった。
ユウは目を瞬かせフロイドを見つめる。
フロイドは相変わらず笑みを浮かべ、その緩く垂れた目を細めた。
ユウとフロイドを繋ぐ赤い糸が彼女の早すぎる鼓動に合わせゆらゆらと揺れている。
「ど、どうしたんですか?突然……」
ユウはへらりと笑う。
困った時、彼女はこうやって笑って誤魔化そうとする。