第3章 コバルトブルーの怪物を飼っている 2
「実は僕、先日面白い話をきいたんです。
1年生と2年生の魔法薬学の合同授業で、ユウさんはカリムさんとペアを組んだらしいのですが、魔法薬が爆発しユウさんにかかってしまったんだとか」
「へぇ。じゃあ小エビちゃん、イシダイ先生に怒られたんだ」
ユウがクルーウェルに怒られ、小さな身体を更に縮める姿を想像した。
その姿は庇護欲を感じさせると同時に加虐心もそそられる。
「えぇ。そしてこの話には続きがあって、何でも彼女が浴びた薬は幻想視覚薬というもので、今彼女には"運命の赤い糸"が見えているのだとか」
「運命の赤い糸?」
「はい。自分自身に繋がれている糸が見えているんだそうです」
ジェイドはいったいどうやってこの情報を得たのか。
疑問に思ったフロイドだが、そういえばこの男はマジカメの裏垢まで特定する男だと思い出し、ジェイドに情報源を聞くことはなかった。
オレと小エビちゃんが赤い糸で結ばれてる。
それって小エビちゃんはオレのことが好きってこと?
フロイドはモップの柄に顎を乗せながらウンウンと考える。
フロイドはそれなりにユウのことを気に入っていた。気分がいい時に見かければ、話しかけに行くくらいには。
フロイドが話しかけると毎回身体をビクつかせるのは面白いし、しかし話す時はちゃんと目を見ている。気弱そうに見えて意外と芯が通っており、小さな身体は女の子らしく可愛らしい。ぎゅっとするとふわりといい匂いがする。
あの細い首に噛みつけば、彼女はどんな反応をするだろう。
そこまで考えて、フロイドは「ん?」と首を傾げる。