第2章 コバルトブルーの怪物を飼っている
「あはっ、こんだけの事に魔法なんか使うわけねぇじゃん」
「そうなんですね」
「オレ、運動神経いいからさ」
「あぁ、そういえばエースがフロイド先輩はとてもバスケが上手だと言ってました」
「最近はダンスにハマってんだぁ。前にウミヘビくんに頭で回るやつ教えてもらった」
「ウミヘビ……ジャミル先輩にですか」
出てきたジャミルの話に弛みそうになる頬を、ユウはクッと力を入れ引き締める。
そういえばジャミルはブレイクダンスを嗜んでいるという話を聞いたことがある。
きっと彼はとてもダンスが上手いんだろう。ユウはぼぅとジャミルが踊っている姿を想像した。
「小エビちゃんもダンスしてみる?オレ教えるよ」
「いえ……お恥ずかしながら私、リズム感がなくてダンスは苦手なんです……」
「だろうねぇ」
「えっ、」
そんなに運動神経が悪そうに見えるだろうか。
ユウは少しショックだった。
フロイドと廊下で雑談をしていれば、そろそろいい時間になってきた。
ユウは恐る恐るフロイドに、「そろそろ授業が始まる時間ですね」と言った。
「んー?そうかもね」
「あの、私たち次は飛行術なので、そろそろ行きますね」
「えぇー、オレ授業受ける気分じゃない。小エビちゃんも一緒にサボろうよ」
「い、いえ……そういう訳にも……」
「だってどうせ小エビちゃん魔法使えないから飛べないでしょ?受ける意味なくね?」